『修身教授録』とペスタロッチについて

2014-02-09

また、合わせて、『隠者の夕暮・シュタンツだより』(ペスタロッチ著・長田新訳/岩波文庫)も購入して読んでみました。

岩波文庫の訳者である長田新(おさだ-あらた)先生は、岩波文庫の後半に75ページ余りも、ペスタロッチ小伝とペスタロッチの思想や活動にかんする解説を書かれています。

表題となっている「隠者(いんじゃ)の夕暮(ゆうぐれ)」は、岩波文庫で僅かに33ページほどであり、「シュタンツだより」も、67ページほどですから、解説ページの方が本文より長いという、大変、力の入った解説であることが分かります。

岩波文庫の訳者である長田新(おさだ-あらた)先生は、戦後を代表する教育学者のようで、1947年に日本教育学会の初代会長に就任されています。
長田先生は、西洋思想史、教育史の研究者ですが、特にペスタロッチに心酔し、ペスタロッチの教育理念を日本に広めるのに大きな功績がありました。
長田先生の遺言によって、遺骨は、スイスのペスタロッチの墓所のそばに埋葬されているそうです。

また、日本の民衆教育に貢献した個人や団体におくられる「ペスタロッチー教育賞」は、戦後の教育に貢献した教育学者長田新先生を記念し、長田先生が教鞭をとった広島大学大学院教育学研究科が1992年に設立した賞です。
ちなみに、2012年、第21回「ペスタロッチー教育賞」が、森信三先生ゆかりの「社団法人 実践人の家」に贈られました。
その意味でも、長田先生は、森信三先生と深いご縁のある教育学者のように思います。

<追記>
第21回ペスタロッチ賞が「実践人の家」に贈られた理由について、ペスタロッチ賞事務局は、受賞団体の紹介文を発表しています。その終わりには、以下の言葉があります。

故国スイスの国難を憂い、戦争に苦しむ民衆の子どもたちに
必要な教育実践を模索したペスタロッチーの姿は、

  森(信三)にとって、戦後日本を再建するための
良き導きであったろう。

実践人の家は、この森の意を忘れぬよう
地道に活動を続けてきた。
今、戦後とは異なる意味で、
教育そして社会全体の再建が求められている。
これに応える言葉を人々に伝えてきた
実践人の家の活動は意義深く、
第21 回ペスタロッチー教育賞を贈呈して高く顕彰したい。

(第21回ペスタロッチー教育賞受賞団体の紹介より)

これを読みますと、広島大学は、森信三先生がペスタロッチに深く傾倒し、戦後日本の教育再建活動の指針になったであろうことを認めて、ペスタロッチー教育賞を「実践人の家」に贈ったことがよく分かります。

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