『損すること』を学ぶ

2013-11-16

私には、映画自体は、さほど面白いとは感じられませんでしたが、お釈迦様が出家する前にヤショーダラー妃と一緒に暮らしていたお城のシーンは、大変印象的でした。

映画の中のお釈迦様は、豪華なお城の中で、素晴らしいご馳走を食べ、美しいお妃やたくさんの召使にかしずかれる、この世の天国のような生活を送っています。

2500年前のお釈迦様の実際の生活がどの程度のものであったかは正確にはわかりませんし、20世紀の映画の世界とはかなり異なるものでしょう。
それでも、当時の庶民からしたら、王族の生活は天国的なレベルであったことは間違いありません。

お釈迦様は、そのような天国的な豪奢な生活を送りながら、それに満足せず、人生の意味に悩みます。
「うつ病」もしくは「ノイローゼ」(当時はそのような病名はなかったと思いますが)になるほど精神的に煩悶したようです。
ついに、29歳で豊かで安楽な生活を捨て、家族も、地位も、お金も、すべて捨てて出家されました。

お釈迦様の出家の動機を説明する伝説として、「四門出遊」の故事があります。

ある時、お釈迦様が居城のカピラヴァストゥの東門から出ると、人の助け無しには身動きもままならない老人に会いまいた。別な日に南門より出ると、道端に倒れて苦しむ病人に会いました。また別の日に西門を出ると死者を弔う葬列に出会いました。

これによってお釈迦様は、この世には、老も病も死もある(老病死)と生きることの苦しみをまざまざと感じられました。
次に北門から出た時に、一人の沙門(しゃもん:出家した修行者)に出会いました。出家して世俗の苦や汚れを離れた沙門(しゃもん)の清らかな姿を見て、お釈迦様は、出家の意志を持つようになった、といいます。

この逸話が史実かどうか、今では確かめようがありませんが、お釈迦様が、人々の不幸から、この世の無常を深く感じ取ったことは間違いないでしょう。
ご自身は、王子様という大変恵まれた境遇にあったのですから、お釈迦様は、特別鋭い感受性と省察力をお持ちだったのだと思います。

出家から6年あまりも、当時の偉大な何人かの指導者について厳しい修行をされました。断食をはじめ、骨と皮ばかりにやせ細るような厳しい「苦行」をされたということです。
しかし、智慧は深まったものの、苦行によっては最終的な悟りは開けないことに気がつき、ついにお釈迦様は、苦行をも捨てました。

お釈迦様は、ナイランジャナー河で沐浴して身を清め、スジャータという村娘から乳がゆの供養を受けて体力を回復し、ガヤー村の菩提樹の下で禅定すなわち坐禅に入りました。
やがて、7日目の夜明けに、明けの明星を見て大徹大悟し、ついに「仏陀」(ブッダ:覚者、目覚めた人、最高の悟りを得た人)になりました。
これを成道(じょうどう)といい、このとき、仏教が開宗されたのでした。

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