『論語物語』との出会い

2014-04-26

下村湖人(しもむら-こじん)の『論語物語』を私が初めて読んだのは、大学4年生のころ、1983年頃でした。大変感動して、これまでに何回か読み直してきました。

このたび、私が参加させていただいている「ごてんば読書会」で『論語物語』が対象図書になったことで、何年かぶりに読み直したので、ブログにもアップしたいと思います。

下村湖人(しもむら-こじん)は、1884年(明治17年)に生まれ、 1955年(昭和30年)に71歳で亡くなりました。戦前の東大英文学科を卒業後、旧制中学の教師、校長を歴任し、1930年、47歳で教職を辞し、分筆活動と社会人向けの社会教育に尽力しました。1936年から亡くなるまで、書き継がれた『次郎物語』は、下村湖人の代表作となっています。

『次郎物語』は、主人公本田次郎の成長を、里子に出された幼少期から10代後半の青年期にかけて描く、全5編からなる長編教養小説です。下村湖人の自伝的な小説であり、第6編、第7編までの構想がありましたが、下村湖人の長逝により、未完でおわりました。

さて、下村湖人が愛して、一生読み続け学び続けた古典が「論語」でした。湖人が生涯をかけて学んだ「論語」の世界を短編小説集にしたのが『論語物語』です。昭和13年(1938年)に単行本が出版され、1981年に講談社学術文庫になり、現在でも読むことができます。

学術文庫版の『論語物語』の前書と解説を書いている永杉喜輔氏は、下村湖人に直接師事した教育学者です。永杉氏も、すでにお亡くなりになっていますが、湖人の直接の弟子だけに、その「まえがき」や「解説」は実に力のこもった文章です。

以下に永杉氏の「まえがき」から引用してみましょう。

湖人が生涯をかけて学んだものは、『論語』であった。そして、『論語』の精神を後世に伝えたいという一念が、本書に結晶したのである。(中略)

『論語』の解説書は無数にあるが、自分の生活をかけて『論語』を読みつづけた人はめずらしい。湖人はその一人である。(中略)

二千年以上も経た『論語』の章句を自由自在に使って、『論語』で養われた自分の思想を物語に構成したものが本書で、『論語』の精神を後世に伝えたい一念が結晶している。

孔子と弟子たちが古い衣をぬぎすて、現代に躍り出す。その光景がみずみずしい現代語でたんねんに描かれている。孔子はすぐれた教育者であった。教育乱脈の今日の日本にとって、本書は万人必読の書である。

【永杉喜輔氏「まえがき」(講談社学術文庫『論語物語』)より】

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