ビジネスにおいて、人間にとっての正しさを考える理由

2012-12-15

経営者として、稲盛和夫さんの先輩というべき、松下幸之助さんも、同趣旨の言葉を残されています。

「真実に立つというのは、まことに強いもので、経営者が真実に立っていれば社員やお得意先からの信頼が、おのずと集まってくる。
真実に立っての言動は、やはり人の心に通じるし、そのことがまた、自分の行き詰まりを打開する上でも極めて大きな力になると思うのである。」
(WEB石碑のHP「松下幸之助の名言」より)

 

稲盛和夫さんは、「人間として何が正しいか」ととらえ、松下幸之助さんは、「真実に立つ」ととらえています。いずれも、哲学的な問いです。それを日本を代表する大経営者が真剣に考えてこられたというところに学ぶべき点があると思います。

私は、公認会計士として長年、監査法人で会計監査の仕事に携わってきました。監査法人の監査報酬というのは、決して安いものではありません。

上場会社であれば、最低でも年間1千万円以上というのが相場であり、年間数千万円の監査報酬を払う会社はたくさんあります。年商1兆円を超える会社であれば、億円単位(時に十億円単位)の監査報酬を支払うことになります。

それだけの高い監査報酬をいただいて、監査の現場では、何をしているのでしょうか?

理論的には、いろいろと説明があると思いますが、
私は、端的に、クライアント先の問題点を探すことを重視してきました。
問題点が明確に把握されて、それをレポートで、わかりやすく経営者に伝えることが最大の仕事であると考えておりました。

では、問題点に対する解決策を監査法人が経営者への監査レポートで示すかというと、少なくとも、現在の金融商品取引法に基づく監査においては、解決策を提示することはできません。
監査人の独立性に抵触するから禁じられております。

となると、ただ、問題点だけを指摘するレポートになります。
それで、年間何千万円の価値があるのでしょうか?

会計監査には、「それだけの価値がある」というのが、私の考えです。
問題点を明確にできれば、解決策は、おのずと見えてくるからです。
具体的な解決策は、会社に考えていただくことになりますが、
会計士の期待する解決策と大きくことなることは、ほとんどありません。

問題点さえ明確になれば、誰もが持つ常識によって、
おのずと解決策が見えてくるというのが、私の実感でした。

人生においても、同じではないかと思います。
問題意識の持ち方が大事ではないでしょうか。

本来、企業経営においては、「金もうけ」が目的であります。
しかし、それを超えた「人間としての正しさ」や「人間としての真実」を追及するというより根本的な問題意識を持つことができた点に、
松下幸之助さんや稲盛和夫さんの偉大さがあると思います。

だからこそ、創業者として、たぐいまれな大成功を勝ち取ることができたのでしょう。

『論語』にも、以下の言葉があります。

 

「立派な人物は、何事につけても、力を根本に用いる。根本が確立すれば、道は自然に生ずるものである。」

「君子は本(もと)を務(つと)む。本(もと)立ちて道(みち)生(しょう)ず」
『論語』学而第一より

 

経営においても、人生においても、人間として根本的な問題を大事にして、それを忘れないように努力すれば、困難な状況の中でも、きっと道は開けてくると思います。

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