布施(ふせ)し合う中に生きる

2013-10-25

買い手と売り手という、経済関係の当事者だけがよくても、世間という社会や自然への影響を忘れたら、環境破壊など重大な問題を起こします。

現在、中国では、工場や自動車の排気ガスによる大気汚染が深刻ですが、日本においても、私が子供の時代(今から40年ほど前の1970年代)には、公害問題が深刻でした。
長い時間をかけて、日本は公害問題を克服してきましたが、公害の発生は「世間よし」という社会的な視点を欠いて経済効率を優先したことによる弊害でしょう。

福島原発事故の背景にも、経済効率優先の思想が見え隠れするように思います。

そもそも、日本のような世界有数の地震国において、原発を作ること自体に無理があったのではないでしょうか。

最近、小泉純一郎元総理が講演会において「核 のゴミの処分場のあてもないのに原発を進める方がよほど無責任」と原発廃止と新しいクリーンエネルギーの開発推進を訴えました。(2013年10月2日の新聞より)
今後3年程度の短期的な視点からいえば、現在の安倍内閣が進めようとしている原発再稼働の方が、経済効率が良いでしょう。
しかし、10年のスパン、さらには30年(1世代)のスパンで考えれば、小泉元総理の主張の方が、よほど筋が通っていると私は思います。

経済効率優先で行くのか、それとも、短期的な経済効率は犠牲にしても、社会や地球環境などを含む広い視野で問題を考えるのかによって、同じ問題に対する解答が大きく異なることがあります。
近江商人の「三方よし」の知恵は、長い目で社会や自然と共存共栄することこそが、正しい経済活動であり、長期的な繁栄の道であることを私たちに教えてくれているのではないでしょうか。

 
このような「三方よし」の教えを実現するためにも、「自分がむさぼらない」精神が必要だと思いますが、このような精神を養うことを重視するのが、沢木老師の禅でした。
 平安時代の最澄(さいちょう)から、江戸時代の近江商人(おうみしょうにん)を経て、昭和の沢木興道老師まで、見事な「心の聖火リレー」がつながっています。
 
 これを21世紀に伝えてゆくのが、日本の仏教徒の役目かもしれません。
 
あるいは、そこまで大げさに考えなくても、私たち凡人が、普通に幸せに生きられるようになる教えとして、沢木老師の「自分がむさぼらない」という言葉を大切にしていきたいものだと思います。

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