本来無一物

2014-05-25

■悟りの世界は空(くう)(2/3)

以前から慧能(えのう)を評価していた弘忍(ぐにん)は、すぐに慧能(えのう)の作と気が付きました。

しかし、道場内の混乱を防ぐため、人前では「こんな詩はダメだ。破り捨ててしまえ。」と言いました。

実際には、弘忍(ぐにん)こそ、誰よりも慧能(えのう)を認めていたのです。

ある日の深夜、弘忍(ぐにん)は、ひそかに慧能(えのう)を自室に呼んで、正式に出家させて自分の後継者と認め、その証(あかし)として由緒(ゆいしょ)あるお袈裟(けさ)などを与えました。

弘忍(ぐにん)は、

「お前の身に危険が及ぶといけない。
当分は、私の後継者であることを伏せて、
世の中から隠れて自分を磨きなさい。」

といって、その夜のうちに、ひそかに慧能(えのう)を寺から逃がしたのでした。

最下級のしがない雑用係である慧能(えのう)が、弘忍(ぐにん)の後継者になったと分かれば、それをねたむ人々から危害が及ぶおそれがあります。それを避けるためでした。

実際、数日たって、慧能(えのう)が、弘忍(ぐにん)の後継ぎになったことが分かると、道場内が大騒ぎになりました。

慧能(えのう)を詐欺師や泥棒呼ばわりして、後を追いかけて、寺の宝である大事なお袈裟(けさ)などを取り返そうとした人も現れたほどです。

弘忍(ぐにん)の眼に狂いはありませんでした。

中国の南方に逃げおおせた慧能(えのう)のもとから、後に、次々と優れた弟子が育ちました。

現代につながる禅は、すべて慧能(えのう)の系譜です。今日においても、慧能(えのう)は、歴史上、最も優れた禅僧の一人として尊敬されています。

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