禅の効用⑧ 「体に対する効果」-7

2013-01-13

平井先生は、睡眠と坐禅との違いを確かめるために、脳波だけではなく、皮膚の電気抵抗の変化(精神電気反射)を観測しました。

そうすると、坐禅中は、外部からの音など刺激に敏感に反応することがわかりました。睡眠中はその様な反応はありませんから、これは、明らかに睡眠とは異なる状態です。

そのうえ、通常目が覚めているときには、同じ刺激を繰り返すとすぐに慣れて無反応になるのに対して、坐禅中は刺激にたいする慣れがなく、常に新鮮な反応をすることもわかりました。

つまり、坐禅中は、睡眠に近い平静な状態を維持しながら、脳活動の新鮮な持続が保たれているのです。これは、まさに、有田先生の言われる「クールな覚醒」状態といってよいでしょう。

さらに、平井先生は、自律神経と坐禅との関係をしらべるため、坐禅中の禅僧の血液を採取して検査しました。その結果、坐禅中に乳酸の量が減っていることがわかりました。

自律神経には、活動型の交感神経と休息型の副交感神経があります。昼間の活動中は、交感神経が大いに働きますが、その分、疲労がたまり、血液中には、乳酸がたまることになります。それが睡眠中に副交感神経がはたいて体の老廃物を除去して疲労を癒してくれます。

健康のためには、交感神経と副交感神経のバランスが取れていることが大事です。しかし、不眠症の人の場合は、副交感神経の活動が落ちて、疲れ切った交感神経がオーバーワークになり自律神経のバランスが崩れているそうです。そういう状態が続けば、うつ病などさらに重大な病気につながるでしょう。

その点、坐禅中は、目が覚めているにもかかわらず、副交感神経の働きが活発になっていることがわかりました。

忙しい現代人にとっては、しばしば交感神経が興奮しすぎる状態が続きがちだと思います。不眠症までいかなくても、良質な睡眠がとれずに、「よく眠った」という感じがなく、朝でも疲労感が残っている方もおられると思います。

そういう方でも、坐禅やイス禅をすれば、副交感神経が活性化して、自律神経の調和がとれます。特に眠る前に、10分~20分程度、坐禅やイス禅をして、副交感神経を刺激してあげれば、良質な睡眠がとれるようになります。

自律神経のバランスがとれて良質な睡眠がとれれば、免疫細胞が活性化して免疫力もアップします。そこで、禅には、自己治癒効果があるといわれるわけです。

次回からは、イス禅の「心に対する効果」について説明いたしましょう。

 
これで、イス禅の「体に対する効果」の説明は終わりです。

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