禅の知恵と古典に学ぶ人間学勉強会(25)開催しました。

2016-04-15

禅は、2500年前のお釈迦さまの時代から、仏教の大事な瞑想修行の方法として受け継がれてきました。
しかし、本格的に坐禅をするには、指導してくれる道場が少ない、
初心者にとってかなり足が痛くて苦痛であるなどの問題があります。
そこで、この勉強会では、誰でもできる禅的な瞑想法として、イス禅を皆さんと一緒に実習します。
また、『無門関』(むもんかん)、『碧巌録』(へきがんろく)など禅の古典から、
現代に生きる私たちにも役立つ禅の話をご紹介いたします。

<禅の効用>
→心を「空」にすることで、心が安すらぎ、ストレスが溶けていく
→潜在意識のレベルで創造性が高まる
→しなやかで折れにくい心(平常心)が養われる

禅の古典に学ぶ
○心が動くのみ:六祖慧能(ろくそ-えのう)の禅話

■受け身か、自発か?

中国に禅の教えを初めて伝えたのは、達磨大師(だるま-だいし)です。
達磨(だるま)から数えて六代目の祖師(そし:正統に禅の教えを受け継いだ師)である慧能(えのう)は、六祖(ろくそ)といわれています。
六祖慧能(ろくそ-えのう)は、師匠の弘忍禅師(ぐにん-ぜんじ)から法を受けついで(後継者と認められて)から、15年間も世間から身を隠して、自分の修行を練り上げておりました。
このような修行を「悟後(ごご)の修行」といいます。当時は、説法をするときは、それを近隣に知らせるために、寺の前に旗を立てたそうです。
ちょうど、風の強かった日のようで、しるしの旗がパタパタと風に吹かれてはためいていました。その旗を見ながら、二人の修行僧がまじめに議論をしていました。
一人は、「旗がはためくのは、風が動いているからだ。風こそが大事だ」と言います。
もう一人は、それに納得せず、「旗があるからこそ、風を受けることができる。旗こそが大事だ」と盛んに議論していたといいます。
一見、ばかばかしい議論のように感じますが、それは言葉の表面であり、「旗か?」「風か?」は、「自己」(自発)と「環境」(受け身)のたとえでした。
一般的な問題に置きかえれば、私たちは、「環境に対して自発的に働きかけて、自分で人生を切り開くべきか?」あるいは「環境を受け入れて、そこに順応することで、より良い運命が開けるのか?」という問題を議論していたのです。
人間には、意思がありますから、ある状況に対して、さまざまな態度や行動が可能です。その意思的なところを重視すれば、自分で自分の運命を築いていく「自発性」が大事だと考えられます。
しかし、人間には、才能や健康や性格など「生まれつき」に大きな違いがあります。また、「お金持ちの子供として生まれるか、貧しい家庭に生まれるか」など、親子関係は自
分では選べません。好況・不況など大きな経済環境も、個人にはコントロールできないものです。
そのような点を重視すれば、私たちは、常に与えられた環境の中で生きる存在といえます。私たちが与えられた環境に順応しなければならない点を重視すれば、人間は運命に対
して、良い意味で「受け見」であることが大事だということになります。人間は「自発的に生きるべきか」あるいは「受け身で順応すべきか」と、二人の修行僧が熱心に議論をしていたところを慧能(えのう)が通りかかりました。
二人の議論が行ったり来たりして、ちっとも解決しないのを見て、慧能(えのう)は、近づいて行って、ずばりと解答を与えたのです。

「風が動いているのでもない。旗が動いているのでもない。
動いているのは、あなた方の心だ!」

慧能(えのう)の言葉を聞いて、僧侶たちは、びっくりして鳥肌がたったといいます。
二人は大いに気づく点があったようで、この話を寺の師に伝えたところ、それがきっかけとなって、慧能(えのう)は、禅僧として世の中に知られるようになります。
後に慧能(えのう)は、曹渓(そうけい)の宝林寺を道場として、多くの優れた弟子を育てました。
唐から宋の時代に、中国で最も盛んな仏教宗派となった禅宗の系譜は、すべて慧能(えのう)から出ています。
また、今日、日本に伝わる禅も、慧能(えのう)の系統です。
慧能(えのう)は、達磨大師(だるま-だいし)と並ぶ、禅宗初期の偉大な祖師(そし)の一人となったのです。

仏教でいう「心」とは、世界全体という意味が含まれています。
「一心法界(いっしん-ほっかい)」という仏教の言葉がありますが、
「一心は、大宇宙そのものである」というような意味です。
禅の解説書には、「一心と言うときは、心より一が大切である。すべては一つということを言っている。宇宙と我々とは一つであると言うのがねらいである。」ということが書かれています。
「本来的に、すべては一つである」とは、宇宙全体がすべて、因縁(いんねん)によっ
てつながっているということです。
いいかえれば、「あらゆる存在は一体であり、個人の運命は、宇宙の運命とつながっている」ということです。

 

<ここがポイント>

1.一心は、大宇宙そのものである

2.陰は、必ず陽に転じるときがくる

3.苦しいときは、天に貯金をしていると考える

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