今東光の毒舌人生相談-その1「本音と建前」(1)

2013-05-03

今東光(こん-とうこう、1898生―1977没)という天台宗の名僧のことを覚えている方は、おられるでしょうか?
覚えている方は、現在50代以上ではないかと思います。 

今東光師は、直木賞を受賞した小説家ですが、30代で、夫婦の人間関係に悩み、心の救いを求めて、天台宗の比叡山延暦寺(ひえいざん-えんりゃくじ)で出家しました。

後に、平泉の中尊寺の貫主(かんじゅ;最高責任者)を努めましたが、中尊寺貫首時代は、中尊寺の昭和大修理を成し遂げました。今東光師の努力は、後の中尊寺の世界遺産登録の基を作ったと言えます。

その功績もあったと思いますが、僧侶としては、天台宗大僧正(だいそうじょう)という最高位の資格を頂いています。さらに、参議院議員も1期6年務めました。

また、人気作家であり、僧尼としても、大変有名な瀬戸内寂聴(せとうち-じゃくちょう)さんの出家の師でもあります。

今東光の古くからの親友には、日本人で初めてノーベル文学賞を受賞した川端康成(かわばた-やすなり)がおり、芥川龍之介(あくたがわ-りゅうのすけ)や谷崎潤一郎、三島由紀夫などとも親交がありました。

ちなみに、今東光師の弟の今日出海(こん-ひでみ)も直木賞作家であり、初代文化庁長官を努めています。兄弟揃って優秀な方でした。

この略歴を見ても、今東光師の人間的スケールの大きさがご想像できると思います。

その今東光師は、1975年(77歳)から、1977年に亡くなる直前まで、「週刊プレイボーイ」で若者の悩みに答える「人生相談」コーナーを担当していました。

それが、『毒舌身の上相談』(集英社文庫)という本となって、今でも書店で購入できます。

人生相談といっても、まったく破天荒(はてんこう)な内容で、悩める相談者を「バカヤロー」と罵倒しながら、ユーモアと暖かみのある痛快な回答を行っています。

中には、思わず笑い出して抱腹絶倒(ほうふくぜっとう)していまうようなトンデモナイ回答もあります。
透徹した人生哲学に裏打ちされた痛快でユーモアあふれる回答に、1970年代後半の若者に絶大な人気がありました。

今東光師の人生相談は、今読んでも、実に面白くて、ためになる本です。

今東光師の『毒舌身の上相談』(集英社文庫)は、今でも、書店やアマゾンなどで、簡単に手に入るロングセラーですが、忘れられた名著になるつつあるようにも感じます。

そこで、このブログで、今日でも通用する今東光師の名回答を適宜抜粋して紹介しましょう。

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