今東光の毒舌人生相談-その2「ウマの合わない上司」(4)

2013-05-03

「自己とは何か?」という問題は、哲学的にも心理学的にも、現在では、脳科学においても大問題と言えるでしょう。
学問的な精密な議論は、私にも、よくわからないので、常識的な議論をすれば、普通は、意識活動を「自己」と捉えると思います。

しかし、フロイトやユングによって、意識よりはるかに広大な「無意識」の世界が発見されて、意識だけが「自己」とは言えないことが明らかになりました。

また、脳科学においても、「クオリア」という感覚の問題は最大の謎の一つとされています。
クオリアとは人が感じる「感じ」のことです。「リンゴのあの赤い感じ」、「新緑の青々とした感じ」、「歯のうずくような痛みの感じ」、「楽しくてワクワクする感じ」といった、主観的に体験される様々な内面的な経験の質のことです。
「クオリア」という「感じ」が、なぜ、どうして感じ取れるのか、現在の脳科学では説明できません。

「無意識」や「クオリア」の問題を考えると、自己を明確に捉えるのは難しい問題です。
昔の人が、心の奥深くに「魂(たましい)」「スピリット」「霊性」などの存在を考えたのも、心の複雑さを経験的に理解していたからなのかもしれません。
「自己とは何か?」という問題を大上段に振りかぶって考えることは、日常生活の中ではほとんどないと思います。
しかし、「自分は何のために生きているのか?」という問いに置き換えれば、誰もが、一度や二度は、頭を悩ませたことでしょう。

今現在、悩んでおられる方もたくさんいると思います。特に困難な状況に直面したり、重い病気になったりしたら、いっそう深刻に考えざるを得ない問題です。
「自分は何のために生きているのか?」という問いは、「人生の意味」を問うものです。

「家族のため」「この仕事のため」「趣味のため」等々、回答は無限にあると思いますが、どのような回答であれ、この問いに明確に自分の回答を持てる人は、それだけで大変幸せであると思います。

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