仏に逢えば、仏を殺せ-2

2013-02-20

『自分の中に毒を持て』(岡本太郎著、青春文庫)の別な個所で、岡本太郎は、次のように語っています。
「前に、禅宗の坊さんたちに「己を殺せ」と言った話をしたけど、あれは「禅」じゃなくて人生の極意なんだ。

自分を殺す、そこから自分が強烈に生きるわけだ。
それがほんとうに生きることなんだ。
自信なんて言うのは相対的価値観だ。
誰々よりも自分は上だ、というものでしかない。
そうじゃなくて、人間は生死を超えた絶対観によって
生きなければだめだ。

ぼくはこうしなさいとか、こうすべきだなんていうつもりはない。
“ぼくだったらこうする”というだけだ。それに共感する人、反発する人、それはご自由だ。

自信がないと悩む。それはその人が、人生に対してコンプレックスを抱いていることの表明なのだ。弱いと自分自身思っている人ほど強くなりたいと意識する。それは別に、悪いことじゃないけれど、弱さを何とかごまかそうとしたり、強くみせかけようなどとすると、ますます弱みになってしまう。

社会的に力がないとか、筋肉がよわいとかいうことも、人間が本当に生きるということ、それに対する強さとは関係ないんだ。

他に比べて弱くても、自分は充実して生きている、これで精いっぱいだと思えば、悔やむことも歎くこともない。人生はひらく。」
岡本太郎氏の言葉や生き方は、まさに禅的な生き方を体現した言葉といえるでしょう。
「独脱無依」(どくだつむえ:何物にも寄りかからない絶対的な主体性を確立していること)、
「随所(ずいしょ)に主となる」(根元的人間性に立脚しているならば、どこにいても、そこが真実の場所となる生き方)
という禅の言葉を地で行くものだと思います。
 禅の解説書は、世の中にたくさんありますが、現代における禅的な生き方や心のあり方を理解するには、岡本太郎氏の『自分の中に毒を持て』(青春文庫)を読むことをお勧めしたいと思います。
 禅に関心がない人でも、ストレスに悩み、苦しくて心が折れそうになったとき、私たちを励ましてくれる言葉がたくさんある素晴らしい本です。

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