宇宙のなぞ-宇宙の誕生-1
現在、宇宙論は飛躍的な発展を遂げて、宇宙の年齢もかなり正確にわかってきています。
最近の宇宙観測衛星のデータから、宇宙の年齢は137億年程度ということが分かりました。137億年前にビックバンにより宇宙が生まれ、今日にいたった過程がかなり詳しく解明されてきています。
しかし、大きな謎がいくつも残っています。
まず、「ビックバンの前の宇宙が生まれる前には何があったのか」という問題です。
「ビックバン宇宙論」の中にも、いくつか説があるようですが、多くの物理学者は、宇宙が生まれる前は、「無」あるいは「真空」であったと考えているようです。
「無」あるいは「真空」の中で、何らかのエネルギーの揺らぎがあって、そこから、突然、今の宇宙が生まれたと考えられています。
宇宙の誕生の瞬間までさかのぼると、そこには、空間も時間も物質も存在しない「無」あるいは「真空」としか言いようのない特異点が現れます。
そのような空間も時間もない世界は、今の物理学の理論では扱えないそうです。当然、それより以前の世界については、何もわかっていません。
ビッグバン宇宙論によると、「無」あるいは「真空」の中に突然「宇宙」が生まれます。
それは、最初は、原子よりもはるかに小さいものだったのですが、一瞬のうちに、すさまじいスピードで1兆×1超×100万倍にまで巨大化したといいます。空間が拡大するスピードは、光のスピードよりはるかに速かったのです。これが「インフレーション」といわれる現象です。
それでも、その時点の宇宙の大きさは、まだ、100メートル程度らしいのですが、その中で物質のもととなる素粒子がうまれ、宇宙の大きさが直径1000キロくらいになったときに「ビッグバン」という超高温の灼熱状態になりました。
その時の温度は、太陽内部の温度より何十桁も高い温度で人工的に作り出せる温度ではありません。
ちなみに、「無」から宇宙が生まれて、「インフレーション」で巨大化して、1000キロの大きさで「ビッグバン」を起こすまで、10のマイナス27乗秒しかかかっていないそうです。
10のマイナス27乗秒とは、0.00000・・・・・0001秒という具合に、小数点以下に0が27個も並ぶ、けた違いに短い時間です。まさに瞬間としか言いようがありません。