岡本太郎の絶対観(その1)

2013-02-20

世界景気が減速する中で、バブル崩壊後、20年以上も続いているデフレ社会の中で、働けど、働けど、思うように収入が増えない人もおられることと思います。

そうでなくても、自分に自信が持てない、将来が不安でたまらないという悩みを抱えている人も多いでしょう。特に「抑うつ的」(うつ病的な心理状態)になると、自信のなさが加速し、自己嫌悪にまで発展し、ひどい時は、自殺に至ることになります。

 人間にとって、自信とはなんでしょうか? お金や地位や社会的な成功が「自信」につながることは、ある意味、当然ですが、成功していない人は、「自信」を失って、ますます、やることなすことうまくいかないということもあります。

 「環境が自分の思いを規定し、自分の思いが環境に反映していまう」という悪循環に陥っているわけです。

 プラス思考を教えてくれる本もたくさんあります。
「ありがとうを100万回言うと幸せになる」「宇宙が想いを叶えてくれる」という教えも流行っています。私も、「ありがとう」を勧める小
林正観氏の本を一時期、随分読んで、心が救われる思いがしました。

 しかし、本来の禅的な発想は、「順逆を超える」ことにあるでしょう。「順境(成功)もまた良し、逆境(不成功)もまた良し」と人生の様々な局面を味わう態度を養うことができれば、心も広やかになり、良い方向に進んでいけるように思います。

 さて、逆境に沈んで苦しいとき、自分に自信をなくしたとき、岡本太郎の次の言葉は、大きな励ましになることでしょう。

<岡本太郎の言葉>
「ぼくは、プライドというのは絶対観だと思う。」

「自分がバカであろうと、非力であろうと、それがオレだ、そういう自分全体に責任をもって、堂々と押し出す。それがプライドだ。」

「ところが自尊心だとかプライドだといいながら、まるで反対のことを考えている人間が多い。他人に対して自分がどうであるか、つまり、他人は自分のことをどう見ているかなんてことを気にしていたら、絶対的な自分というものはなくなってしまう。」

「プライドがあれば、他人の前で自分をよく見せようという必要はないのに、他人の前に出ると、自分をよく見せようと思ってしまうのは、その人間にコンプレックスがあるからだ。」

「そういうふうに揺れ動いて、悩むときはプライドの逆を考えるといい。普段は自分はバカな奴だと思っているとしよう。
それがプライドの逆目になるわけだから、そういうふうに自分を考えること自体、虚しさがある。だから、バカだ、いやしいと思うなら思ったで、むしろそう考えた方が、自分自身に手ごたえを覚えておもしろいじゃないかと思えばいいわけだ。」

「そういうふうに発想を転換すれば、プライドとかコンプレックスなんてものにこだわらなくなるだろう。そしてもっと人間的に生きていくことができる。」

「大切なのは、他に対してプライドをもつことでなく、自分自身に対してプライドをもつことなんだ。」

「他に対して、プライドを見せるということは、他人に基準を置いて自分を考えていることだ。そんなものは本物のプライドじゃない。」

「たとえ他人にバカにされようが、笑われようが、自分がほんとうに生きている手ごたえをもつことが、プライドなんだ。」

「相対的なプライドではなくて、絶対観をもつこと、それが、ほんとうのプライドだ。このことを貫けなかったら、人間として純粋に生きてはいけない。」

岡本太郎が強調していることは、「他と比べることなく、絶対観を持って生きる」ことによって、より人間的に生きられるということです。

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