形のない塔を建てよ!

2014-09-24

■病床での最後の指導(1/2)

中国の唐(とう)の七代皇帝である粛宗(しゅくそう)は、大変、熱心に禅の修行をしたことで有名です。

粛宗(しゅくそう)の禅の師が、慧忠(えちゅう)ですが、禅の古典では、忠国師(ちゅう-こくし)と書かれています。

粛宗(しゅくそう)は、忠国師(ちゅう-こくし)を心から尊敬されていましたので、忠国師が宮廷に禅の指導に来られると、わざわざ、門まで出迎え、また見送りをされたと伝わっています。

皇帝という最高の地位にある方としては、異例といってもよいほどの手厚い「おもてなし」をされたわけです。それだけ、慧忠(えちゅう)のことを尊敬されていたでのでしょう。

さて、粛宗(しゅくそう)が、病床にあって余命いくばくもない忠国師をお見舞いした時に、長年のご指導に感謝して、
「老師がお亡くなりになったら、何を老師の記念としたらよいでしょうか?」と尋ねました。

現代の日本人にとっては、不謹慎な感じがしますが、中国の伝統文化では、師を大事にする意味の常識的な問いであるそうです。

粛宗(しゅくそう)の問いに対して、忠国師(ちゅう-こくし)は、
「つぎ目も、切れ目もない、さらに言えば、形さえない塔を
私の墓として作っていただきたい」
といいました。

長年、禅を学んできた粛宗(しゅくそう)は、忠国師(ちゅう-こくし)が、禅の指導をしようとして、わざと奇抜な言葉で答えたことを理解しました。

しかし、禅修行の途中段階にある粛宗(しゅくそう)には、忠国師(ちゅう-こくし)の真意までは分かりません。

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