禅仏教の深層心理学―唯識について①

2013-01-07

禅仏教は、現実的で実践を重んじる中国で発展し、日本で磨きあがられたものですから、理論的な説明があまりありません。
「禅問答のようだ」といえば、「(部外者には)訳が分からない」という意味になっているほどです。

しかし、仏教が生まれたインドは、大変、哲学的、思索的な傾向がつよい国です。
そのため、心のあり様について、たくさんの仏教者が何百年にわたって哲学的な考察を重ねてきました。

お釈迦様が紀元前4世紀にお亡くなりになられてから、数百年して、インドに大乗仏教がおこりました。その中で、唯識
ゆいしき
仏教という思想は、大乗仏教の深層心理学というべきもので、心のあり方について深い考察がなされています。

驚くべきことには、西洋においては、20世紀になって、フロイトやユングによって発見された無意識の世界について、紀元4世紀くらいに、唯識仏教では、すでにユングと同じような考察をしていたことです。

禅では、悟り体験について「八
はっ

しき
田中
でんちゅう
に一刀
いっとう
を下
くだ
す」という表現をつかいます。
ここでいう「八
はっ

しき
」が唯識思想の用語です。

禅仏教も、インド仏教の唯識
ゆいしき
思想によって理解できる面がありますから、唯識
ゆいしき
思想をとおして、仏教の深層心理学を説明しましょう。

唯識では、人間の心理を8段階に分類します。

まず、誰もが認識できる表層心理として、「眼識
げんしき
」「耳


しき
」「鼻


しき
」「舌
ぜっ

しき
」「身
しん

しき
」の「五


しき
」があります。これは、感覚のことで、それぞれ「視覚」「聴覚」「嗅覚」「味覚」「触覚」にあたります。

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