達磨(だるま)の壁に向かった九年間

2014-04-13

■山にこもるのはなぜ?(3/3)

もう一つの理由としては、達磨大師(だるま-だいし)が、自分が伝えようとする禅の教えの価値を確信していたことがあるでしょう。

禅が本当に世のため人のためになる素晴らしい教えであることを信じることができたからこそ、焦らなかったのだろうと思います。

パナソニックの創業者・松下幸之助氏は、数々の名言を残しています。
短い言葉で、ビジネスや人生の本質をずばりと語り、聞くものに深く考えさせる力がある点で、
松下幸之助氏の言葉は、禅語(ぜんご:禅の名言)のようだといわれることがあります。

松下幸之助氏の名言の一つに、

「無理に売るな。客の好むものも売るな。

 客のためになるものを売れ。」

というものがあります。

新しい商品やサービスを売るにあたって「これこそは、客のためになる」という確信があれば、これほど強いものはないでしょう。

反対に、自分の利益のために無理に売ろうとすれば、遅かれ早かれ、お客が離れていき、ビジネスは発展しません。

達磨大師(だるま-だいし)は、禅の教えこそは、「人々のためになる」と確信されていました。

だからこそ、焦ることなく、9年間も、坐禅中心の生活をしながら、禅の教えを伝えるに足る人材が現れるのを忍耐強く待つことができたのでした。

そして、9年後に、慧可(えか)という素晴らしい青年が現れます。

慧可(えか)は、後に達磨大師(だるま-だいし)の後継者となって、禅の教えを後世に伝えました。

達磨大師の9年間の忍耐は、みごとに報われたのでした。

<ここがポイント>
1.無理な拡大は成功しない
2.人材こそは、企業の発展の基礎
3.自分のためではなく、お客様のためになるものを売る

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