「妙好人(みょうこうにん)」-才市(さいち)-その15
現代は、自然科学の発達により、神話なき時代といわれますが、「輪廻転生」や「死後世界」について、欧米では、真剣に科学的な研究されています。これは、現代に新たに生まれつつある神話といえるでしょう。
死後世界の研究については、いつか、別項で取り上げたいと思いますが、臨死体験をされた方の体験談を読むと、極楽浄土の存在が必ずしも、単なる夢物語ではなく、私たちとは次元の異なる別世界があるのではないかと思われます。
妙好人(みょうこうにん)と言われる方々は、阿弥陀仏の救いを信じた時に、すでに極楽往生を約束されるので、現世においても自分は救われていると感じているようです。
そうなると「南無阿弥陀仏(なみあみだぶつ)」という念仏は、救いを求める祈りではなく、自分が救われたことに対するお礼の言葉、感謝の言葉になります。この考え方は、親鸞聖人(しんらん-しょうにん)の教えでもあります。
最後に、才市が、感謝の念仏を歌った詩をいくつか紹介して、この項を終わりましょう。
阿弥陀(あみだ)さんに 阿弥陀(あみだ)をもろうて
なむあみだぶつを 申させてくださる
わが罪を 功徳(くどく)になさる大恩(だいおん)
なむあみだぶつ
大恩(だいおん) 大恩(だいおん) 御大恩(ごだいおん)
この仏(ぶつ)は 才市(さいち)を
仏(ぶつ)にする仏(ぶつ)で
あむあみだぶつと 申す大恩(だいおん)
こう言う言葉を読むと、浄土教の教えが、
「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」が、どれほど、日本人の心を豊かにし、救ってくださったのか、本当にありがたい思いがします。
科学万能の現代において、極楽浄土を前提とする浄土教の教えは、時代にあわない感じがするかもしれませんが、その教えの真髄は、今日でも、学ぶに足る深くて尊いものがあると思います。