「妙好人(みょうこうにん)」-赤尾の道宗-その4
現代人にとっては、「前世の借金払い」という考え方は、受け入れにくいかもしれません。そもそも、前世があること、つまり、輪廻転生があることについて否定的だからです。
しかし、前世や輪廻転生があるかどうかは議論があるところです。
インドでは、仏教に限らず、民族的な信仰として、「輪廻転生」の教えが自然に受け入れられています。
中国や日本は、インドとは文化が異なりますので、伝統的に「輪廻転生」については否定的です。中国や日本の仏教がインド仏教と異なる発展を示した一つの理由のように思います。
多くの現代の日本人は前世や輪廻転生を信じていないと思います。
しかし、最近では、「輪廻転生」を否定するキリスト教文化圏である欧米において、真剣に輪廻転生の可能性が科学的に研究されています。
実際に前世の記憶を持っている子供達や催眠によって過去世の記憶を思い出す人が沢山見つかるようになり、そのような現象を無視できなくなったからです。
「輪廻転生」があるかどうか、あるいは、「死後の世界」があるかどうかについては、議論をしだすと切りがなくなりますので、ここではこれ以上触れません。
ちなみに、禅仏教では、「今、ここ、自己」を何より大事にする教えですから、「輪廻転生」については、積極的には語りません。
むしろ否定的かもしれません。一応、仏典に書いてあることですが、比喩的に解釈するのが普通のように思います。
私自身は、その手の研究書を読んで、輪廻転生や死後世界の存在の可能性は十分にあると考えています。(というより、あって欲しいと考えているというべきかもしれませんが。)
道宗の「前世の借金払い」という考え方は、前世と限定せずに、「これまでの人生における借金払い」と考えれば、受け入れやすいでしょう。
実は、稲森和夫氏(京セラ、KDDI創業者)にも、似たようなエピソードがあります。有名な話なのでご存知の方も多いかもしれませんが、以下に紹介いたしましょう。