「芸術は、バクハツだ!」ー5

2013-05-03

無目的にただ生命を爆発的に燃やして生きることに意義を見い出した岡本太郎にとって、現代社会は、病んだものに見えます。

<岡本太郎の言葉>
「ところが科学主義・合理主義は割り切れたものだけしか問題にしない。
そのシステムによって動く現代社会、産業、経済機構のなかで、
すべては合理的に、また目的化される。

“生きる”ということの非合理、猛烈な情感は顧みられない。
ほとんどの現代人は己の存在のなかの芸術家を圧殺している。

だから人々は疎外され、知らず知らずに絶望しているのだ。
絶望しているということさえ知らないほど、深く、空しく。」

社会のシステムに順応しようとして努力することによって、帰って、自分で自分を疎外し、知らず知らずに空しさを感じ、絶望するといいます。

私たち普通の社会人は、社会に順応するように、自分を抑えてまわりに合わせざるを得ません。「空気を読む」という言葉がそれを象徴しています。

「空気を読む」こと自体は、悪いことではなく、日本人の大きな長所かもしれません。

東日本大震災のとき、誰が命令したわけでもないので、被災者のあいだに整然とした秩序が現れて、世界中から賞賛されました。
その時の多くの日本人が無意識にしたことは、まわりの「空気を読む」ことではないでしょうか。
一人ひとりが、半径10メートルくらいにいるまわりの人々にお互いに思いやりを示すことによって、思いやりの連鎖が自然にできて、いつの間にか、見事な秩序になったのだと思います。

東日本大震災のような大災害の時には、大変な力を発揮した「空気を読む」力も、それが行き過ぎるとき、人間をしばる鎖になるのではないかというのが、岡本太郎の指摘だと思います。

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