「芸術は、バクハツだ!」ー6
岡本太郎の推奨する「バクハツ」する生き方をするには、どうしたらよいのでしょうか。
<岡本太郎の言葉>
「自分を大事にしようとするから、逆に生きがいを失ってしまうのだ。
己を殺す決意と情熱を持って危険に対面し、生きぬかなければならない。
今日の、すべてが虚無化したこの時点でこそ、
かつての時代よりも一段と強烈に挑むべきだ。」
「強烈に生きることは常に死を前提にしている。
死という最もきびしい運命と直面して、はじめていのちが奮い立つのだ。
死はただ生理的な終焉ではなく、日常生活の中に瞬間瞬間にたちあらわれるものだ。
この世の中で自分を純粋に貫こうとしたら、生きがいに賭けようとすれば、
必ず絶望的な危険をともなう。」
「そのとき「死」が現前するのだ。惰性的にすごせば死の危険感は遠ざかる。
しかし空しい。死を畏れて引っ込んでしまっては、生きがいはなくなる。
今日はほとんどの人が、その純粋な生と死の問題を回避してしまっている。
だから虚脱状態になっているのだ。」
「死を覚悟して運命に直面する」という侍的な生き方を岡本太郎は勧めています。
岡本太郎は、第2時世界大戦の時代に生きています。昭和15年(1940年)にドイツ軍がフランスに進行したことをきっかけに日本に帰国し、昭和17年(1942年)に31歳で徴兵されて、中国戦線に一兵卒として従軍しています。
以後、昭和20年の終戦後も、中国で半年ほど俘虜生活を送っており、昭和21年6月に35歳のときに焼け野原になった東京に復員しました。
文字通り、岡本太郎は、死と隣り合わせの数年間を戦場で過ごしています。
「死という最もきびしい運命と直面して、はじめていのちが奮い立つのだ。」
という岡本太郎の言葉は、単なる観念的なものではなく、戦場における厳しい経験が背景にあるのではないでしょうか。
誇張ではなくギリギリの真実の表現であると言えるでしょう。