「芸術はバクハツだ!」ー1
岡本太郎の最も有名な言葉は、「芸術は爆発だ!」という言葉でしょう。
もともとは、1981年放映のテレビCMの中のセリフですが、岡本太郎の個性とぴったり一致し、バブル経済の始まりの時期である1986年には「新語・流行語大賞」を受賞しています。
1986年の他の流行語大賞受賞は、「地揚げ(ジアゲ)」「プッツン」「亭主元気で留守がいい」「おニャン子」「(六本木)アークヒルズ」などです。
「おニャン子」は、秋元康氏がプロデュースして一大ブームを起こしたアイドルユニットですが、現在では、同じ秋元氏プロデュースの「AKB」が全盛期ですね。
「アークヒルズ」は、かつては六本木のランドマークであり、現在でも、サントリーホールがあることで、クラッシク音楽ファンにとっては、馴染みの場所ですが、後に、六本木ヒルズができ、さらに「東京ミッドタウン」もできて、随分と影が薄くなりました。
また、「プッツン」のように普通に使う日常用語になった言葉もありますね。いずれにしても、時代の変化を感じる言葉たちです。
さて、岡本太郎の「バクハツだ!」は、日常用語にまではなっていませんが、おそらく40代以上の人にとっては、岡本太郎の特徴的な風貌とともに、記憶に残っていると思います。
しかし、岡本太郎は、この言葉に単なる流行語を超えた深い意味を込めています。
この言葉の真意を岡本太郎自身の言葉で解説してもらいましょう。
例によって、引用元は『自分の中に毒を持て』(青春文庫)からです。
<岡本太郎の言葉>
「“芸術は爆発だ”
ぼくが芸術というのは生きることそのものである。人間として最も強烈に生きる者、無条件に生命をつき出し爆発する、その生き方こそが芸術なのだということを強調したい。」
「私の言う「爆発」はまったく違う。音もしない。物も飛び散らない。
全身全霊が宇宙に向かってパーッとひらくこと。それが「爆発」だ。
人生は本来、瞬間瞬間に、無償、無目的に爆発しつづけるべきだ。
いのちの本当のあり方だ。」
人間の生命そのものの本来のあり方を「バクハツ(爆発)」と捉えています。人間の生命が、「全身全霊が宇宙に向かってパーッとひらく」ことが岡本太郎の言う「バクハツ」なのです。