「芸術はバクハツだ!」ー3
岡本太郎の最も有名な言葉「芸術は爆発だ!」について、もう少し岡本太郎自身の説明をご紹介しましょう。
<岡本太郎の言葉>
「あるときパッと目の前がひらけた。
……そうだ。おれは神聖な火炎を大事にして、まもろうとしている。
大事にするから、弱くなってしまうのだ。
己自身と闘え。自分自身を突き飛ばせばいいのだ。
炎はその瞬間に燃えあがり、あとは無。――爆発するんだ。」
これは、芸術家としての生き方に悩んでいた岡本太郎が、「バクハツ」というキーワードに気がついた時の話です。
自分自身を守りすぎるから、生命の炎を弱くなってしまう。瞬間瞬間に自分の生命を激しく燃やすことを示す言葉が、「爆発(バクハツ)」でした。
「バクハツ」する生き方を選ぶとどのようになるのでしょうか。
<岡本太郎の言葉>
「自分を認めさせようとか、この社会のなかで自分がどういう役割を果たせるんだろうとか、いろいろ状況を考えたり、成果を計算したり、そういうことで自分を貫こうとしても、無意味な袋小路に入ってしまう。」
「いま、この瞬間。まったく無目的で、無償で、生命力と情熱のありったけ、
全存在で爆発する。それがすべてだ。」
「そうふっきれたとき、ぼくは意外にも自由になり、自分自身に手ごたえを覚えた。
勿論生活の上で、芸術活動の上で、さまざまな難問や危機は次々と押しよせてくる。
しかし恐れることはない。」
まったく無目的で、無償で、生命力と情熱のありったけで生きること、それが岡本太郎の言う「バクハツ」の中身です。
「バクハツすることがすべてだ」と悟ったとき、岡本太郎は、「自由になり、自分自身に手ごたえを覚えた」のでした。
社会生活を生きるとき、誰でも、目的を持ち、目標達成のために努力を積み重ねていることでしょう。少なくとも、そのような生き方が望ましいと考えると思います。
しかし、岡本太郎の生き方は違います。無目的に生きることこそ、人間の本来の姿であるというのが、岡本太郎の認識です。