『修身教授録』とペスタロッチについて

2014-02-09

アマゾンでのペスタロッチ関連の本の検索結果を見て、またまた疑問が浮かんできました。

森信三先生が、『修身教授録』の中で、あれほど熱を込めてペスタロッチに学ぶことの重要性を説いているのに、
「なぜ、今日では、ペスタロッチは、読まれたり、学ばれたりすることが少なくなったのか?」
という疑問です。

そこで、せっかくの機会なので、ペスタロッチについて勉強しようと思い、あらためて、「日本の古本屋」(古本をネットで検索し、注文できるネット古書店)で検索したところ、
森信三先生が、『修身教授録』第33講の「付記」の中で推薦している『ペスタロッチ』(福島政雄著/福村書店)がヒットしましたので、さっそく購入して読みました。

著書の福島正雄先生は、森信三先生の恩師の一人でもあります。森信三先生は、24歳のとき、広島高等師範学校(現在の広島大学教育学部)の教員であった福島正雄先生と出会います。そのとき、福島先生は、31歳(森先生より7歳年長)でした。

森信三先生は、福島先生を中心とする「ペスタロッチ研究会」を始め、機関誌も発行して、広島高等師範学校は、日本のペスタロッチ研究の一つの中心になったそうです。

また、森信三先生は、福島正雄先生のおかげで親鸞(しんらん)の教えに目を開くことができたとご自身で書かれています。
他力の教えである親鸞の浄土教の教えは、後に戦前の森信三先生の学術研究の頂点である『恩の形而上学(けいじじょうがく)』につながっています。
また、森信三先生は、京都大学時代に西田幾多郎先生の下で、禅の哲学というべき西田哲学も学んでいます。

福島正雄先生および西田幾多郎先生を通して、森先生は、日本仏教の代表というべき禅仏教(自力の教え)と親鸞の浄土教(他力の教え)の両方の思想に親しみ、それを自らの哲学(全一学)の中に取り込んだのでした。

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