『論語』の言葉-2「朋あり。遠方より来る」②
職場の人間関係で悩むことがあっても、本来は、特別なご縁で一緒になった
「朋(とも)」であり、人間関係がうまくいかないのは、「何かの因縁」によるものだと考えてみましょう。あえて、犯人や原因を棚上げしてみるわけです。
相手が悪いとか、逆に自分が悪いとか、
不必要に人や自分を責めるのをやめましょう。
相手や自分を責めても、たいていの場合、事態はよくなりません。
そうでなくても、他人の短所ばかりを見るというのは、
その人の心を暗くし、心の成長を止める恐れがあります。
人間関係には、「返報性の原理」が働きます。
こちらが嫌いだ嫌いだと思うと、相手からも嫌われます。
かといって、いきなり、嫌いな人を好きになることは難しいでしょう。
その場合には、心の中で「ありがとう」と感謝してみることが、
問題解決のきっかけになります。
相手の良いところを探し、少しでも評価できる点、感謝できる点を見つけて、
「ありがとう」と心の中で念じてみるのです。
相手に向かって、直接、言えればもっと良いのですが、
最初は、心の中で念じるだけでもよいでしょう。
ひとりで、つぶやいても良いでしょう。
それだけでも、怒りの気持ちが減って、精神的にかなり楽になれます。
そうなれば、少しずつ、人間関係も改善します。
時には、劇的に関係が改善することもあります。
精神的に怒りの気持ちが強くて、特定の相手に感謝できないときは、
ほかの人(たとえば、家族や友人など)に感謝してもよいでしょう。
「ありがとう」という言葉を口に出すなり、心に念ずることによって、
自分の心が変わります。
「ありがとう」は、自分の心を育てる言葉です。
ちなみに、「ありがとう」という言葉は、「有り難い」からきており、
もともとは、めったにない特別なことについて、神様に感謝する気持ちを表す言葉だそうです。本来は、外国語に正確には訳せない日本語独特の発想による言葉のようです。「もったいない」と一緒ですね。
「ありがとう」という言葉には特別な力があると思います。
日本人は、古来、言霊(ことだま)といって、言葉に宿る力を信じてきました。言葉の力は否定できないと思いますし、その中でも「ありがとう」は、最も美しく、力強い言葉の一つでしょう。
「ありがとう」という言葉を口に出したり、心の中で念ずることによって、
自分の心が変わります。「ありがとう」と感謝することによって、心に明るさと余裕がでてきます。謙虚さや心のおおらかさも育ちます。
「ありがとう」だけで、すべてが解決するわけではないかもしれませんが、
感謝の心は、問題解決の一歩であると思います。
職場の人間関係をよくするには、様々なスキルがあります。
今はやりのコーチングスキルなども役に立ちますが、
心に怒りの火が燃えているとうまく使えません。
「ありがとう」は、心の怒りの火を消し、心を明るく言葉です。
「ありがとう」と感謝されて怒る人はいません。
同様に「ありがとう」と感謝しながら、怒り続けられる人も少ないでしょう。
心を明るくすることは、問題解決の第一歩かもしれませんが、
重要な一歩であると思います。