メルマガ第12号:説けば、にせもの
■懐譲(えじょう)の名言(3/3)
さて、「悟り」ということをビジネスの世界におきかえれば、言葉では簡単に伝えられない、経験の中で自得するしかない「仕事のコツ」と同じ性質のものであろうと思います。
仕事の中で自得するしかない最高レベルのコツは、組織の経営そのものでしょう。
経営の神様といわれた松下幸之助氏(パナソニック創業者)は、経営について、次のような名言を残しています。
「自分でいろいろ考えてみて、人にも聞き自分も考えてみて、
そして自ら悟るものを持たないといけません。
経営というようなものは、教えられないものです。」
(松下幸之助)
「経営は教えることができない」といいつつも、松下幸之助氏は、松下グループのシンクタンクというべきPHP研究所で、自社の幹部育成のためのゼミナール(研修会)を昭和50年代から開かせています。
講師は、PHP研究所の方々が務められたようですが、時には、松下幸之助氏自身が講話をされることもありました。
その中で、「研修を受けて、“なるほど”と感じるところがあれば、その感ずるところに自分の個性なり持ち味というものをどう生かしていくかを考えてほしい」と訴えています。
さらに、「その生かし方がまずいと、力があってもうまくいかない。だから自分というものの特色を自分でつかまないといけない。自分というものを発見しないといけないのだ」ということを語っています。
変化の激しいビジネス環境を考えれば、常に新しい情報を学び続けることが必要でしょう。
同時に、自分で自分を「発見」して、自分の角度を持たないと学んだことを十分に生かせないということでしょう。そのためには、素直に自分を見つめ直す姿勢が必要ではないでしょうか。
懐譲(えじょう)の「悟り」のエピソードは、自己発見の大切さを私たちに教えてくれているのだと思います。
<ここがポイント>
1.悟りとは、何とも言いようがないものである
2.仕事のコツ、特に経営は、経験の中で自得するべきもの
3.そのためには、自己発見が大事