今東光の毒舌人生相談-その6「神や運命について」(9)
その時、ダマスコ(ダマスカス)の町にアナニアという信徒がいました。このアナニアにイエスの幻が現れ、語りかけます。
『新訳聖書』使徒言行録9章
ところで、ダマスコにアナニアという弟子がいた。
幻の中で主が、「アナニア」と呼びかけると、
アナニアは、「主よ、ここにおります」と言った。
すると、主は言われた。
「立って、『直線通り』と呼ばれる通りへ行き、ユダの家にいるサウロという名の、タルソス出身の者を訪ねよ。
今、彼は祈っている。アナニアという人が入って来て自分の上に手を置き、元どおり目が見えるようにしてくれるのを、幻で見たのだ。」
しかし、アナニアは答えた。
「主よ、わたしは、その人がエルサレムで、あなたの聖なる者たちに対してどんな悪事を働いたか、大勢の人から聞きました。
ここでも、御名を呼び求める人をすべて捕らえるため、祭司長たちから権限を受けています。」
アナニアはイエスの幻を見ますが、そのイエスから、キリスト教徒迫害の張本人であるサウロ(パウロ)を訪ね、助けよと言われます。
アナニアは、おもわずイエスに対して異議を唱えます。
『聖書』使徒言行録9章
すると、主は言われた。
「行け。あの者は、異邦人や王たち、またイスラエルの子らに、
わたしの名を伝えるために、わたしが選んだ器である。
わたしの名のためにどんなに苦しまなくてはならないかを、
わたしは彼に示そう。」
幻としてアナニアに現れたイエスは、サウロ(パウロ)を、異邦人や王やイスラエルの子らに宣教するために選んだ器だと伝えます。
しかも、そのためにパウロは迫害も受けるとも言いました。
キリスト教徒迫害の急先鋒であったサウロ(パウロ)を助けよとイエスから言われて、アナニアは、さぞ困惑したことでしょう。
しかし、アナニアの信仰心が、その疑惑を抑えました。