今東光の毒舌人生相談-その3「えばり過ぎる上司」(3)
非上場企業が、同族企業として、オーナー一族の中から代々の社長を出すケースが多いのは、社長個人の連帯保証を要求する日本の金融システムの問題も大きいと思います。
社長が務まりそうな有能な部長さんがいても、オーナー一族でなければ、本人が社長になりたがらないケースもあります(子会社ならば別でしょうが)。
その点、オーナー一族として、自分の会社に勤務している2代目や3代目は、多くの場合、今は部長や課長であっても、いずれは社長にならざるを得ないという運命にあります。
そのため、企業の中でも、次期社長として、周りも大事にするでしょうし、本人もそのような意識を持って働いていると思います。
そういう状況になりますと、中には、有能で仕事はできるが、オーナー一族として自社のサラリーマン社員を見下すような態度を露骨に取る傲慢な2代目や3代目が出てくることがあります。
背負っている運命やその運命に伴う責任の重さがサラリーマンとは全く異なりますから、ある意味では仕方がないことかもしれません。
今回の相談者の悩みは、そのような
「有能だけど、社員を見下す態度をとる傲慢な2代目に対する怒りを
どうしたらよいのか」
というものです。
それに対する今東光(こん-とうこう)師の回答は、
いつもながら、痛快です。
「威張(いば)りたい奴には、うんと威張らせておけばいい。
そのうちに高転(たかころ)びに転ばあね。」
「高転(たかころ)びに転落して、
はじめて「ああ、おれはまだあかんな」と気がつくもんだ。
それまでは黙って見てた方がよい。
なにもカッカすることはないさ。」
威張りたいやつには、威張らせておけばよい。
いずれ何かに失敗して、自分で反省するから、
カッカせずに黙って見ていればよいのだ、というものです。
これは、2代目に限らず、部下を見下す上司の下で、
腹を立てている人のすべてに当てはまる名回答ではないでしょうか。