形のない塔を建てよ!
■宇宙一杯の自己を悟れ(2/3)
誰もが「形のない塔」を心のうちに持っているのですが、その塔は、黄金のような素晴らしいものです。
第2句「国中に黄金が満ちている」とは、誰もが心の宝物を持っていることを歌っています。
第3句「影の無い木の下につながれた乗り合い船」の「影の無い木」とは、一切の対立のない悟りの世界のことです。
「形のない塔」に目覚めれば、影も、日なたもない、宇宙と自分が一体となった世界が開けます。
そのような悟りの世界に浮かぶ「乗り合い船」には、色々な人が乗っていますが、めいめいが宇宙と一つという境涯にあるので、ケンカが起きません。おのずと仲の良い平和な世界となります。
第4句「水晶のお城に、善き指導者はいない」の「水晶のお城」とは、本当の悟りを得た人の心が、水晶やガラスのように透明で澄んでいることを表しています。
そのような人は、煩悩(ぼんのう)も、妄想(もうそう)もなく、悟ったという悟りの臭みもありません。ですから、忠国師(ちゅう-こくし)のような優れた指導者も必要ないということです。
さて、このお話は、粛宗(しゅくそう)が、禅の師である忠国師(ちゅう-こくし)に対して、
「お亡くなりになったら、どのように老師を顕彰(けんしょう)したらよいですか?」と質問したことから始まっています。
忠国師(ちゅう-こくし)は、黙って坐禅の姿を見せ、弟子の耽源(たんげん)は、上記の漢詩で答えました。
結局、粛宗(しゅくそう)に伝えたかったことは、
「老僧が死んでも、別にこれという望みはない。
それよりも、皇帝陛下が大悟徹底(たいご-てってい)して、
自らが「形のない塔」であることにお気づきになりますように。
それが唯一の望みです。」
ということです。
<10月のイス禅セミナー:ご案内>
「禅の知恵と古典に学ぶ人間学勉強会」(原則月1回開催)
イス禅と禅仏教の古典(『無門関』など)に学ぶセミナーを
10月21日(火)に、秋葉原駅近くの区民会館で開催します。
前半は、誰でもできるイス禅瞑想の実修です。
休憩後の後半は、禅の古典からの講話となります。
禅に関心のある方は、どなたでも参加できます。
日時:2014年10月21日(火)19時~21時(開場18時30分)
場所:JR秋葉原駅そばの「和泉橋区民会館」
(千代田区立の公民館)