本来の面目とは?
■思いを捨てる(1/3)
山道を歩いていた慧能(えのう)は、後から追いかけてくる慧明(えみょう)に気が付きました。軍人出身で体力自慢の慧明(えみょう)と争っても勝てるはずはありません。
お袈裟(けさ)のことで怪我をしては、師匠の弘忍(ぐにん)に申し訳ないと思った慧能(えのう)は、大事な袈裟(けさ)と鉢(はち)を近くの岩の上に置いて言いました。
「この袈裟(けさ)は、仏法の証明であり、力で争うものではない。
持っていきたければ、持って行きなさい。」
慧明(えみょう)の目的は、慧能(えのう)の持っている寺宝のお袈裟(けさ)と鉢です。これさえ取り返せればよいというわけで、慧能(えのう)が岩に置いたお袈裟(けさ)を持ち上げようとしました。
しかし、どういう訳か、軽いはずの袈裟(けさ)が山のように重たく、いくら力をいれても動きません。慧明(えみょう)はびっくりしました。
なぜ、軽いお袈裟(けさ)が動かなかったのか?
慧能(えのう)の泰然(たいぜん)とした尊い姿に、慧明(えみょう)の良心が、無意識のうちに手をしびれさせたのではないでしょうか。
昔の人は、「仏様のご加護(かご)があったから」と考えた方もいたようですが、そのようなことも否定できません。
不可知(ふかち)の世界、サムシング・グレートのことは、軽々しく否定しない方が良いと私は思います。
<7月のイス禅セミナー:ご案内>
「禅の知恵と古典に学ぶ人間学勉強会」(原則月1回開催)
イス禅と禅仏教の古典(『無門関』など)に学ぶセミナーを
7月16日(水)に、秋葉原駅近くの区民会館で開催します。
前半は、誰でもできるイス禅瞑想の実修です。
休憩後の後半は、禅の古典からの講話となります。
禅に関心のある方は、どなたでも参加できます。
日時:2014年7月16日(水)19時~21時(開場18時30分)
場所:JR秋葉原駅そばの「和泉橋区民会館」
(千代田区立の公民館)