本来無一物
2014-05-25
■悟りの世界は空(くう)(3/3)
慧能(えのう)の「本来無一物(ほんらい-むいちもつ)」とは、何事にもとらわれない、悩みも、悟りも忘れた、絶対的に自由な境涯です。
禅の理想とする境地ですが、一般的な言葉に当てはめれば、
「しなやかな心」のあり方を表しているといえるでしょう。
人間は、誰でも生まれる前は、「本来無一物(ほんらい-むいちもつ)」というべき状態にあり、人生が終われば、また、「無一物」の世界に帰っていきます。
禅では、「夢」という文字は、はかない人生の象徴という意味があります。
「喜びも悲しみも、成功も失敗も、すべては夢。こだわりすぎるな、捉われるな!」ということです。
人は困難に直面したり、窮地に立たされたりしたときに、深く悩み苦しむものです。
人生には、必ず困難な状況がおこるものであり、変化の激しい21世紀のビジネス社会において、なおさら、そのリスクが高いといえるでしょう。
困難に直面した時に、「本来無一物(ほんらい-むいちもつ)」と腹をくくることができれば、過度に落ち込んだり、悲観したりせずにすむでしょう。
肩の力を抜いて、状況に素直に対応していけば、自然に道が開けてくるものです。
このような心のしなやかさ(レジリエンス)を高めるコツが、「本来無一物(ほんらい-むいちもつ)」であると、この禅話は教えてくれています。
<ここがポイント>
1.困難なときは「本来無一物」と腹をくくる。
2.人生は一場の夢。成功や失敗にこだわりすぎない。
3.心のしなやかさ(レジリエンス)を大事にする。
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