瓦(かわら)を磨く
■先人の知恵に学べ(2/2)
馬祖(ばそ)は、すぐれた素質の持ち主でしたが、最初から一人で坐禅するだけで、お釈迦さまに近づこうというのは、さすがに無理があります。
プロ野球選手にあこがれる小学生が、自己流のまちがったフォームで素振りを繰り返しても、なかなか上達しないようなものです。
プロ野球を目指すのであれば、まずは少年野球チームに入り、中学、高校の野球部で本格的な指導を受けて、なおかつ、天性の素質と人一倍の努力があれば、プロ野球選手になれるかもしれません。
かりに、抜群の運動神経を持っていたとしても、基本をきちんと学ばずして、プロのレベルには到達しないでしょう。
これは、ビジネスの世界でも同じです。
素質のある人は、自己流でも、それなりの成功を収めるかもしれませんが、普通は、限界があります。
さまざまな先人の知恵に学んで、基本を十分に身につけたうえで、自分なりの工夫を付け加えていくという手順が効果的であり、効率的でしょう。
「愚者(ぐしゃ)は経験に学び、賢者(けんじゃ)は歴史に学ぶ」という格言があります。
「おろか者は、自分の経験からしか学ばないから、自己流の域をでない。かしこい人は、歴史すなわち先人の知恵に学んで、秀でた成果をあげることができる」という意味です。
特に、経営者や管理職など、チームにおいてリーダー的な仕事をする人は、まわりの人材の能力を引き出して、自分以上の優秀なプレイヤーに育てていく必要があります。
そのようなリーダーとしての役割を個人の経験だけでこなしていくのは、誰でも大変なことだと思います。
馬祖(ばそ)が、懐譲(えじょう)に弟子入りして大成したように、読書や研修や耳学問(松下幸之助氏は耳学問の大家だったそうです)など、さまざまな方法で先人の知恵を学んでいくことで、リーダーとしての器を大きくしていきたいものです。
<ここがポイント>
1.独りよがりでは、大成できない
2.すなおに、優れた先人の指導を仰ぐ
3.愚者(ぐしゃ)は経験に学び、賢者(けんじゃ)は歴史に学ぶ