禅の効用③ 「体に対する効果」-2

2013-01-13

(2)うつ病が激増している日本社会
厚生労働省の平成20年患者調査によりますと、うつ病患者は初めて100万人を超え、ここ10年間で2倍以上増加しています。
とくに30代、40代という働き盛りの世代のうつ病患者増加数が大きくなっています。企業の合理化・効率化が進む中で働き盛りの年代の仕事の負担が増えてきていることが関係しているのでしょう。

また、世界的な経済競争の中で、低賃金の中国など新興経済大国に対抗するため、10年以上も家計の平均所得が下がってきていることとも、関係していると思われます。従来の日本的終身雇用が崩れてきて、不況による失業恐怖を多くの人が感じるようになったことも関係あるでしょう。

「頑張って働いているのに収入が増えない」「不況によるリストラや失業を恐れている」という状況になれば、誰でも心が疲れてくるのは当然です。

高度成長期からバブル期までのように、「仕事は忙しくても、その分、経済的に豊かになれる」という達成感や、「会社で出世できなくても、簡単には失業しない」という安心感があればよいのですが、現代は「達成感が少なく、疲労感や不安感が強い」という精神衛生によくない経済状況になっています。
ファイザー製薬が平成20年に実施した一般生活人を対象にしたアンケート調査によりますと、12%がうつ状態にあると回答しておりますので、潜在的なうつ病患者数は、1千万人を超えているかもしれません。

企業の現場でカウンセリングを行っている心理カウンセラーの中には、ビジネスパースンの3人に1人がうつ病予備軍ではないかと考える方もいるようですが、現在の社会状況を考えれば、あながち大袈裟とはいえないように思います。
 
現在、大幅に増加しているうつ病の治療や予防にも、禅は効果があります。以下に有田先生の本に従って、うつ病予防の方法と禅との関係を説明しましょう。

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