自分に授かっただけが、授かったもの
さて、お金に関連して、先日見たNHKスペシャル『中国激動 ”さまよえる”人民のこころ』(2013年10月13日放映)という番組を思い出しました。
経済発展著しい中国において、儒教など中国伝統の倫理思想やキリスト教などの宗教が人々のあいだで、急速に普及しだしているという内容でした。
<NHKのHPから、番組紹介>
“先に富める者から豊かになれ”鄧小平氏による改革開放の壮大な実験から始まり、急速に経済成長を続けてきた中国。
しかし今、貧富の格差が拡大するなど、13億すべての民に「豊かさの約束」を唱え続けることが難しくなってきている。2回目は、経済的な成功に代わる新たな“心のより所”を模索し始めた中国の人々の内面に迫る。
今、人々の間で急速に求心力が高まっているのが、2500年の伝統を誇る中国生まれの“儒教”だ。
「他人を思いやる」「利得にとらわれない」ことを重要視する儒教にこそ、中国人の心の原点があるとして、儒教学校の設立や、儒教の教えを経営方針に掲げる企業が続出。現代風にアレンジした新興グループまで登場し、中国全土に儒教ブームが広がろうとしている。
国も、かつては弾圧の対象でもあった儒教を認め、支援することで人々の心を掌握しようとしている。
孔子の故郷、山東省曲阜(きょくふ)では国が主催する孔子生誕祭が盛大に行われるなど、仁徳の国を復活させるための取り組みも始まっている。
拝金主義の夢から覚め、「心の平安」を求める人々――。次なる時代へと向かおうとする中国の姿を描く。
http://www.nhk.or.jp/special/detail/2013/1013/
NHKの紹介文では、中国の伝統思想である儒教の復活に焦点が合わされていますが、実際の番組では、キリスト教の普及について、かなりの時間を割いて紹介しています。
この番組によれば、すでに、中国におけるキリスト教徒は、1億人を超えて、共産党員よりも多いそうです。
約13億人の人口に対する1億人ですから、10%に近い数字です。
現在も、貧しい農村部を中心に、キリスト教徒がどんどん増えているそうですから、いずれ人口の10%を超える日も来ることでしょう。
儒教は中国の伝統思想であり、共産党政権が出来るまでは、中国人が皆まんだ教えですから、その復活は、ある意味当然です。
しかし、外来の宗教であるキリスト教が、人口の10%を超えるとしたら、それはすごいことです。しかも、つい20年ほど前までは、キリスト教は、中国政府によって禁止されていたのですから、なおさら驚きました。
ちなみに、日本のクリスチャンは、約100万人であり、人口の1%弱です。
明治維新以来、キリスト教の布教を自由にし、また、欧米のキリスト教会も日本における布教に力を入れました。
上智大学や立教大学、青山学院大学など、欧米のキリスト教会の支援で設立されたキリスト教系の名門大学もたくさんあります。
それにもかかわらず、日本におけるキリスト教の布教は成功しませんでした。
なぜ、日本ではキリスト教が普及しないのか?
山本七平氏は、「日本人は、一見、無宗教のように見えるが、実は、熱心な「日本教徒」なのではないか」という問題意識で、『日本人とユダヤ人』に始まる多数の名著を書かれました。
私は、山本七平氏のファン(読者)なので、いずれ、山本七平氏の本もこのブログで取り上げたいと思いますが、今は、話題がずれるので、日本人とキリスト教の話題は、このあたりで切り上げたいと思います。
ただ、中国や韓国では広く普及したキリスト教が、日本では、ほとんど普及しなかったことを確認しておきたいと思います。
なお、このNHKスペシャル『中国激動 ”さまよえる”人民のこころ』は、かなりの反響を呼んだようですので、今後も再放送されるかもしれません。
すぐに見たい人は、「NHKオンデマンド」からパソコンで視聴することも可能です。
https://www.nhk-ondemand.jp/program/P200800015600000/index.html