自分に授かっただけが、授かったもの
中国は、一時期の年率10%を超える経済成長よりは減速したとは言え、まだ年率7~8%の高い経済成長率です。
ちなみに日本の過去十年の成長率は平均して1%程度ですから、中国経済の方が、はるかに勢いがあります。
また、中国のGDPは、2010年に日本を抜いてアメリカに継ぐ世界第2位になりました。しかし、中国は人口が日本の10倍以上の約13億人ですから、一人当たりGDPからいえば、まだ日本の10分の1です。
全体的には、日本の昭和30年代~40年代の高度成長期に、中国の状況は似ているように思います。
日本も、年率9%~10%の成長率が続いていた高度成長期の1968年(昭和43年)に、GDP世界第2位になりました。
当時の日本の一人当たりGDPは、9千ドル台でしたが、中国は、現在も、まだ6千ドル台です。
人口の多さと相まって、経済成長の余力は、昭和40年代の日本より、今の中国の方が、はるかに大きいと言えるでしょう。
高度成長期の真っ盛りにあるような中国で、「拝金主義の夢から覚め、「心の平安」を求める人々」が激増していることをNHKの番組は教えてくれました。
日本においても、高度成長期には、経済的豊かさという光の中で、水俣病や四日市ぜんそくなど公害問題が深刻になり、創価学会など新宗教が大きく発展しました。
中国でも、PM2.5による大気汚染問題など、経済成長の影で公害問題が深刻化していることが報道されています。
同様に、経済成長の影で人々の心の歪みが大きくなっている反動として、儒教やキリスト教など心を救う教えが求められているのでしょう。
「衣食足りて礼節を知る」という格言があるように、中国も、経済的に豊かになった段階に入って、人々が、心のあり方に目を向ける余裕ができたという見方も成り立つと思います。
すでに経済大国になって久しい日本においては、どうでしょうか?
バブル崩壊後、現在にいたるまで、日本では、「失われた20年」とも言われる長期デフレ経済が続いています。
すでに人口減少時代に入って、日本は、ますます、経済成長が難しくなり、経済より文化の時代になっていくことでしょう。
日本の若者は、「草食系」になったと言われています。
20代以下の世代は、生まれてこのかた、常に不景気かそれに近い状況にあり、高度成長はおろか、バブルの時代も体験していません。
経済的に将来に「夢」を持ちにくい世の中だから、「草食系」になったのでしょうか。
そうかもしれませんが、見方を変えれば、「お金」以外の価値観を大切にする生き方に進化しつつあるのかもしれません。
世界に先駆けてバブル崩壊と長期デフレを経験してきた日本は、「お金」を超える価値観を共有できる新しい社会に進化しつつあるのではないでしょうか。そうであることを私は願っています。