謙虚に感謝する心
■四つの教え(2)
3人目の「空」(くう)の教えは、禅仏教の最も高い目標であり、何物にもとらわれない、煩悩(ぼんのう)から自由になった理想の境涯を示しています。
一般的な言葉でいえば、「空(くう)」とは、現実をありのままに受け入れることのできる、素直で柔軟な心のあり方を示すのだろうと思います。
私たちのような凡夫は、色々な煩悩(ぼんのう)に心を捉われて、苦しい思いをすることが、しばしばあるものです。
仏教では、人間の苦しみの根源として三毒というものを教えます。三毒とは、最も根本的な三つの煩悩(ぼんのう)、すなわち「貪・瞋・癡」(とん・じん・ち)を指しています。「貪・瞋・癡」とは、「むさぼり・いかり・おろかさ」という意味です。
「むさぼり・いかり・おろかさ」という三毒に苦しむのが、神様や仏様とは異なる、人間の人間たるゆえんなのでしょう。
人間は、煩悩(ぼんのう)ゆえに苦しみ、しばしば間違いをする存在であると理解することで、現実をありのままに受け入れ、柔軟に対応する力が増していくのではないでしょうか。
最後の慧可(えか)の「無言の礼拝(らいはい)」は、謙虚に学び、何事にも感謝する理想の生き方を教えていると思います。
ビジネスでも、人生でも、良い日もあれば、悪い日もあります。
優秀な方でも、成功して得意になったときに、舞い上がったり、おごり高ぶったりすると、失敗の原因を作りやすいものです。
反対に、大きな失敗したときは、がっくり落ち込んで、なかなか失敗から立ち直れないこともあります。
それが、私たち凡夫の自然の人情なのでしょう。
<イス禅セミナーのご案内>
「禅の知恵と古典に学ぶ人間学勉強会」(第3回)
イス禅と禅仏教の古典(無門関など)に学ぶセミナー第3回を
5月23日(金)に、秋葉原駅近くの区民会館で開催します。
前半は、イス禅の実修、休憩後の後半は、禅の古典からの講話です。
禅に関心のある方は、どなたでも参加できます。
日時:2014年5月23日(金)19時~21時
場所:JR秋葉原駅そばの「ふれあい会館」(千代田区立の公民館)
詳しいご案内と申込みは、以下をご参照ください。