「妙好人(みょうこうにん)」-赤尾の道宗-その2

2013-05-03

禅でいう「正念相続(しょうねんそうぞく)」については、剣道範士九段・故小川忠太郎先生が、以下のように説明されています。

小川忠太郎先生は、人間禅道場で修行され、剣道だけではなく禅の修行も極めた方です。
人間禅の立田英山(たつた-えいざん)老師から「無得庵(むとくあん)」という庵号と「刀耕(とうこう)」という居士号を頂いておられます。惜しくも、平成4年に91歳で大往生されました。

以下に、小川先生が人間禅道場で昭和58年にされた法話から「正念相続」についての部分を引用いたします。

「一呼吸の間に「雑念を交えない」。「ズウーッ」と。
世の中のことも、これです。
世の中の元は人間でしょう。人間の元は心でしょう。

世の中が騒がしいと言っても、結局は人間の心が動いているんだ。
世の中の騒がしさに迷わされている。

本当に練り上げていれば、世の中が動いているのでも、
何でもありはしない。
どんなに動いている中に入っても、本体が乱れない。

話は訳ない。話すことは、誰にでもできる。
しかし実際に行うとなったら、これはもう夢物語。その位難しい。
これが「正念(しょうねん)」です。」
(以上、小川忠太郎先生の法話より)

小川先生ほどの達人というべき大禅者にとっても、「正念相続」は難しいといいます。
いや、達人だからこそ、その難しさをよく知っているというべきかもしれません。「知る者は恐る」という言葉どおりです。

さて、道宗は、深い信心を持ち、蓮如上人にまで認められた妙好人でした。しかし、それほどの人だからこそ、自分の信心を絶やさないために、怠け心を鞭打つために、厳しく自分を戒めたのでしょう。

なにしろ、わざわざ、寝にくい割木の上に寝たというのですから、禅堂の修行僧も顔負けの精進であったと思います。

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