布施(ふせ)し合う中に生きる
2013-10-25
曹洞宗の禅僧の中で、昭和の時代に最も活躍されたのが、
沢木興道老師です。
(さわき こうどう、道号:祖門、1880年 – 1965年)
沢木興道老師の残された名言に、一番弟子であった内山興正老師が解説した本、『宿なし興道 法句参(ほっくさん)』(大法輪閣)から、興道老師の名言及び教えをご紹介していますが、その第5回目です。
<法句(沢木老師の言葉)>
天地も施(ほどこ)し、空気も施(ほどこ)し、
水も施(ほどこ)し、植物も施(ほどこ)し、
動物も施(ほどこ)し、人間も施(ほどこ)す。
―施(ほどこ)し合い。
―われわれは、この布施(ふせ)し合う中にのみ生きておる。
有難(ありがた)いと思うても思わないでも、そうなのである
『くれ』というのでもないのに、施(ほどこ)し恵まれる風景は
「むしり合いの世界」と違うて、じつに涼しい風景であり、
じつに宏大無辺(こうだいむへん)なる風景である
私たち人間は、自然の恵み中で生きています。
空気も、水も、人間が作ったものではありません。
沢木老師が「天地」と表現しているこの地球環境は、すべての人間にとって「与えられたもの」です。
この与えらた自然の豊かな恵みを利用して、私たちは、様々な産業を起こして生活しています。
生きる上での一番の基礎となる「食」については、植物や動物の生命をいただいて、私たちは自分の生命を養っています。
現在、私たちが口にしている食べ物の多くは、人間が栽培したり、育てたりしているものでしょうが、生命そのものを人間が作り出しているわけではありません。
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