禅の効用 「心に対する効果」-6

2013-01-13

また、人によっては、坐禅中に一種の幻覚を見ることがあります。坐禅中に誰かはわかならないけれど、何か高貴な存在に出会って話をするような体験をした人もいます。あるいは体外離脱のような感覚を感じることもあります。
これは、坐禅に限らず、瞑想法一般にありえることです。

瞑想法の中には、そのような体験を重視する修行法もあるようですが、禅宗では、幻覚体験を「魔境」とか「禅病」といって重視しません。
それは、「見性」体験や「悟り」体験とは、明らかに異なるものです。

もし、皆さんが、イス禅の最中に「幻覚」を見たり、「体外離脱」のような体験をしても怖がることはありません。
幻覚が楽しい感覚であれば、ただ映画を見るような気分で、あるいは夢をみるような気持ちで、受け流せばよいのです。
もし、怖い幻覚が現れたときは、イス禅をやめて、簡単な体操をするなり、眠るなりすればよいと思います。

私の経験から言うと、疲れているときに幻覚を見ることが多いように思います。もっとも、これにも、個人差がありますから、一概には言えません。いわゆる「霊感」が強い方の場合は、体の疲労とは関係ないかもしません。

しかし、禅では、「幻覚」のような特殊な体験を決して「悟り」とは言わないということは知っておいてください。
そうしないと「幻覚」を特別な「悟り」を開いた証拠であると誤解して舞い上がってしまう人がいます。

それこそ、「禅病」患者になりますから、幻覚のような体験をしても、それは瞑想する場合に、一般的にありうる体験の一つに過ぎないと理解してください。

なお、皆さんが、自宅でイス禅をする場合は「悟り」や「見性」にこだわる必要は、まったくありません。
そういうことを考えるとかえって、雑念になることがあります。 

イス禅によって、心身の調子を整え、脳に深い休息を与え、心を洗って感性の活性化を図るというレベルで、気軽に考えていただいた方が良いと思います。

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