今東光の毒舌人生相談-その3「えばり過ぎる上司」(4)
人間は、神様ではありませんから、失敗をしないということはありません。
特に現代のように、環境変化が激しい時代は、いま成功している方法が、2年後、3年後も、そのまま通用するという保証のない時代です。
人間は、誰でも成功しているときは、自分に自信を持つとともに、多少なりとも、天狗になる(傲慢になる)ことは避けられないように思います。
どんなに成功しても、常に謙虚でいられる人は、それだけで、偉大な人格者であるといえるでしょう。
多少は傲慢になっても、そこそこの程度に収まっていれば、周りとの人間関係もそれほど悪化しませんから問題はないと思います。
しかし、この相談者の上司のように傲慢(ごうまん)度が高い場合は、失敗した時の代償も大きいといえます。
成功しているときは、多くの人がすり寄ってきたのに、大きな失敗をして左遷(させん)でもされたら、たちまち離れていくのが世の常です。
傲慢度が高い人の場合は、本人の知らないところで、まわりから嫌われていたりしますから、ピンチになった時に助けてくれる仲間や友人や部下が、誰もいないかもしれません。
それどころか、ここぞとばかりに足を引っ張る人が出てくるかもしれません。
いずれ、親族の後を継いで社長になることが決まっている2代目、3代目にとっても、それは同じでしょう。
オーナー一族の2代目、3代目がいくら有能でも、例えばリーマンショックのような大不況が津波のように襲ってきた時には、どうしようもなく企業業績が悪化することがあります。
サラリーマンは、会社を辞めて転職できますが、オーナー一族は、簡単に会社を辞めることができません。
急速に企業の経営が悪化した場合、会社の倒産が個人破産に直結するリスクを負っているオーナー一族にとっては、胃が痛くなる程度の話ではすみません。
表面には見せなくても、内心は、七転八倒の苦しみを感じることも多いでしょう。