今東光の毒舌人生相談-その3「えばり過ぎる上司」(6)

2013-05-03

禅には、「看脚下」(かん-きゃっか)あるいは「却下照顧」(きゃっか-しょうこ)という言葉があります。

「自分の足元、自分が立っているところをしっかり見なさい」という意味です。

さらにいえば、「自分を見失うな」ということです。

傲慢で嫌な上司の下で働くときは、誰でも、嫌な思いをすることでしょう。そのような時に、上司に腹を立てて、カッカしていると、結局、嫌な上司に自分の心が振り回されていることになります。

そのような時は、自分の足元を見て、やるべき仕事を確実にこなすことを考えましょう。

上司の性格を変えようと思っても、それは無理なことです。
しかし、時が来て、上司が大きな失敗をすれば、自然に上司の性格も変わるかもしれません。

そうでなくても、自分を成長させることに意識をフォーカスすれば、「嫌な上司の下で働く」という経験自体が、自分を成長させてくれるきっかけになりえます。

少なくとも、「こういう上司になれば、部下から嫌われる」という生きた見本が目の前にあるのですから、自分が将来、上司や先輩の立場になった時には、「逆のお手本」として非常に参考になることでしょう。

腹が立つときは、
「看脚下(かん-きゃっか)、看脚下(かん-きゃっか)」
と心の中で、オマジナイのように唱えましょう。
少しは、気分も落ち着くと思います。

それでも、不愉快さに耐えられないというのであれば、社内での配置転換を申し出たり、転職を真面目に検討するのもよいでしょう。
将来の夢に向けて、何かの勉強をしたり、あるいは、仕事以外の楽しみでストレス解消することもよいことです。

最善の解決策が見つからない時でも、いま自分にできることを見つけて、それをやっていくことです。

将来の夢を持ちながらも、いま自分にできることを着実にやっていくことが、「自分を見失わないこと」すなわち
「看脚下(かん-きゃっか)」の精神ではないかと思います。

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