呼べばこたえる山彦
■三度呼んで三度応える(1/2)
禅宗の大祖師(そし)である六祖慧能(ろくそ-えのう)には、「国師(こくし)」とよばれた優れた弟子がおりました。
南陽慧忠(なんよう-えちゅう)です。西暦8世紀の中国は唐の時代に、時の皇帝粛宗(しゅくそう)の精神的指導者になったことから、慧忠国師(えちゅう-こくし)と呼ばれています。
ちなみに「国師(こくし)」とは、高僧に対して皇帝(朝廷)から贈られる号の1つで、皇帝の師となった方への尊称です。
歴史上、「国師(こくし)」は、たくさんいますが、禅宗では、「国師(こくし)」といえば、慧忠(えちゅう)を指すといわれるほど、優れた禅僧です。
さて、慧忠(えちゅう)の晩年の出来事です。ある日、慧忠(えちゅう)が侍者(じしゃ)を呼びました。
侍者(じしゃ)とは、禅道場の修行者の中で、指導者である「師家(しけ)」の身の回りの世話をする役の者です。老師の食事作り、部屋の掃除、風呂の用意など、一日中、作務に追われ、ゆっくり坐禅をする時間がないほどです。
そのため、初心者がするには荷が重く、それなりに修行が進んだ人がやる役割です。
慧忠(えちゅう)が呼んだ侍者とは、後に、慧忠の法を嗣(つ)いだ一番弟子の応真(おうしん)であったといわれています。
老師(ろうし)が侍者(じしゃ)を呼ぶのは、用事をいいつけるためですから、侍者(じしゃ)は、老師から呼ばれたら、すぐに隠寮(いんりょう:老師の個室)にお伺いするのがルールです。
<9月のイス禅セミナー:ご案内>
イス禅と禅仏教の古典(『無門関』など)に学ぶセミナーを
9月17日(水)に、秋葉原駅近くの区民会館で開催します。
前半は、誰でもできるイス禅瞑想の実修です。
休憩後の後半は、禅の古典からの講話となります。
禅に関心のある方は、どなたでも参加できます。
日時:2014年9月17日(水)19時~21時(開場18時30分)
場所:JR秋葉原駅そばの「和泉橋区民会館」
(千代田区立の公民館)